母校近況

2020年8月会報記事

コロナ禍で進化する呉三津田

 令和2年4月16 日に発せられた非常事態宣言を受け,広島県の公立学校も同日から5月31 日まで臨時休業となった。臨時休業中,また臨時休業後における学校の様子を報告する。

〇休業中の授業 学びを止めるな!
 休業中は授業をオンラインで行った。Zoom などテレビ会議システムを用いた双方向の授業が理想であるが,各家庭での通信環境の問題もあり,生徒全員に双方向の授業を提供することは難しい状況があった。しかし,生徒の8割強がスマートフォンを利用しているため,Classi(学校のICT 化を多角的にサポートする教育プラットフォーム)に予め課題を配信しておき,録画した動画で解説をするなどの,いわゆるオンデマンドによる授業を展開した。
 動画配信に関わっては,情報化推進委員会がスマートフォンで見やすく,かつ健康にも配慮したガイドラインを作成した。例えば生徒の集中力や健康上への配慮から,動画は10 分程度とすること,見やすい板書の工夫や理解しやすい展開の工夫など,教員の授業改善にもつながる取組となった。撮影や編集は,ラーニングコモンズをスタジオに,同委員会のメンバーが中心となって作業をおこなった。
 休校中はトータルで600 本あまりの動画を配信したが,学校再開後に行ったアンケート調査では,92% の生徒が,「大変役立った」「役立った」と答えており,一定程度効果があったと考えられる。この取組は,コロナ禍でも学びを止めぬ1つのモデルとして,広島県教育委員会や校長会でも紹介された。

〇休業中の身体的・精神的健康のケア
 休業中においても,Classi を用いて生徒一人ひとりの身体的・精神的健康状態や学習状況について担任・副担・学年主任が生徒一人ひとりの記述をチェックすることで把握した。特に気になる生徒については,直接連絡を取るなど,きめ細やかな対応を行った。
 休業前から養護教諭が中心となって「健康観察カード」への記入,毎朝の体温チェックなど,健康状態の把握に努めていたが,休業中も健康チェックをオンラインで継続的に行った。

〇分散登校
 5月14 日の緊急事態宣言解除を受け,広島県の公立学校は5月18 日より限定的な登校を認める「分散登校」が許された。密を回避するため,一般的な授業はできないものの,オンラインで分からなかったことの質問や心配事の相談等も可能になり,限定的とはいえ登校できるメリットは大きかった。
 学校では,午前・午後と登校時間を分散させ,また1日に登校できるクラスを指定するなど,密を回避するための対策を講じた。また,校内で身体的接触が起こらないよう,生徒の動線を予め想定し,廊下に大きく矢印表示をするなど,万全の体制で臨んだ。
 分散登校期間中は,およそ半数程度の生徒が登校し,教室での学習や質問,面談等を行った。

〇学校再開
 6月1日より全校生徒が登校できることになったが,いわゆる「新しい生活様式」における学校運営を迫られることとなった。予定されていた学校行事は一つひとつ実施の可否を検討したが,安易に中止を選択することなく,実施を可能にするための工夫に知恵を絞り,次に示すとおり,ほとんどの学校行事を新しい形で実施することとした。
・詩のボクシング:呉信用金庫ホールでの実施を見送り,各学年で予選を行い,本選を三津田祭のステージ上で実施予定。
・大運動会:身体接触する種目をカットし,9月に三津田祭と抱き合わせで実施予定。
・三津田祭:例年行っていた食品バザーは見送り。
・修学旅行:シンガポールへの修学旅行については,目的地を沖縄に変更するとともに2月に延期。
・オープンスクール:9月に延期するとともに,参加者を分散させて実施予定。

〇学校再開に向けての校内整備
 学校再開後の感染防止策,構内整備は次のとおりである。
・各教室及び校内の要所に手指消毒用アルコール及び物 品消毒用次亜塩素酸水の配備。
・廊下及び階段に中央ラインを引き,右側通行を呼びかけるポスターを掲示。
・校内冷水機の使用禁止。
・職員室に飛散防止ビニールシート設置。

〇新しい生活様式下での授業
 学校再開後も,学校によってはオンラインによる授業を継続し,オンラインによる授業と教室における授業の両方を組み合わせる,いわゆる「ハイブリッド授業」を実施する学校もあったが,本校はオンラインによる授業を一時的に中止し,教室における授業に集中することとした。たしかに,ハイブリッド授業は家庭でも受講できるので進度を速める等のメリットもあるが,前述したように生徒のネット環境がまちまちであることから,公平性を担保できないことや,生徒の健康上のデメリットの方が大きいと判断したからである。
 対面授業は,生徒・教員ともマスクを着用し,密にならないよう細心の注意を払っている。大きな声を出しての音読や,実験などは行わないこととし,体育においても身体接触を伴うような種目は実施しないようにしている。

〇総合的な探究の時間(La Gaya Scienza a Mitsuta)における指導単元の見直し
 新しい生活様式下の授業においては,実施形態のみならず,単元の見直しを余儀なくされる場合もある。たとえば,本校のGaya における探究的な学習活動の中核単元である「社会探究プロジェクト学習」である。呉の課題を発見し,その解決を模索していく探究活動を通して,社会を深く探究する単元であったが,その中心的な取組であるフィールドワークはコロナ禍中では難しいと判断した。フィールドワークは,デザイン思考論においてはエンパシー(共感)を得る役割を果たすため,それなしでは単元そのものが成立しない可能性もある。
 そこで,今年は「コロナ禍を通して社会を見る」活動に単元を変更することとした。たとえば,自粛警察の問題や,ロックダウンの是非,ブラジルにおける経済活動の優先など,内在していた課題がコロナが到来して顕在化した例は枚挙にいとまがない。そこで,コロナをキーワードとして広く社会に内在する課題を掘り下げていくこととしたのである。
 生徒は「どのようにしたらバスにおける密を避けることができるか」という表面的な課題から,バス便をはじめとする社会的インフラの問題などに掘り下げていき,社会そのものを見つめていくことを期待している。

2020年8月会報記事

呉三津田ホームページリニューアル

 ネット上の本校の玄関口であるホームページが,「ひっそりと」リニューアルされている。作成した英語科の藤田教諭にインタビューした。

Q リニューアルのきっかけは?
A
旧ホームページは写真も多く,デザインもよく考えられた見やすいものでしたが,やはり古さは感じていました。生水さんによる三津田ブランドのデザインもあることですし,ずっと更新しなければと思っていました。在宅勤務が始まったとき,家でもできる仕事だと思い,取り組みました。

Q苦労したところは?
A
私のような素人でどれほどデザイナーの意図を汲めたかわかりませんが,生水さんのデザインを最大限生かすよう工夫しました。「朱」という色にしても,微妙なニュアンスの違いがあり,そのあたりが一番苦労したところです。

Q 一番の売りは?
A
現在,多くの人がスマートフォンを利用してホームページの閲覧をします。新しいホームページは,スマートフォン用のページを別に用意することなく,自動的にスマートフォンに最適化されるよう作成しました。